2022年4月26日火曜日

今から60年前の 体験したアメリカ

今から60年前、ということは、1960年代、アメリカに留学。当時の原稿が出てきた。

 今朝、大学近くの公園(コモン)で、演説をしている集団を見かけた。学生らしい、長髪の若者3名、労働者風の屈強な男性2名。なにを話しているのか。「アポロ計画、本当に必要なのか」、「アメリカに、なにをもたらすのか」、といい、「アポロ計画、反対」、が目的のようだ。ここケンブリッジは、ハーバード大学、MIT、ボストン大学などのある学術都市として知られており、文化的にも、他州よりレベルが高い、アメリカの良識は、ケンブリッジからなどといわれている。

下宿の掃除にきてくれるおばさんが、テレビを見なければならないので、今週の掃除の時間を変更したい、というので、どうぞ、と。部屋にテレビのないのを知っているおばさん、「よかったら、うちへテレビ、見にこない? アメリカがはじめて月に人間を送るのよ、すばらしいこと」、と誘われた。というほど、アメリカ中が、エキサイト。

一方、学生組織SDS(Students for Democratic Society)はじめ、ラディカルな学生団体が、抗議集会、討論会などを行い、反対アポロ計画を叫んでいる。ニクソン大統領のベトナム撤退のニュースは、アポロに影にかくれたしまった感じ。アポロの月面着陸は、アメリカが宇宙科学技術で、ソ連の挑戦に打ち勝つ、との評価は、マスコミなども大々的に報じている。そういえば、ソ連艦隊が、キューバを公式訪問するというニュース、これもアポロに押しつぶされている。

というこれら海外事情と裏腹に、国内事情は、それどころではない。たとえば、この7月4日の独立記念日から始まる飛び石連休の土曜日、自動車事故で亡くなった人が、170人、五月の一か月で、ニューヨークだけで、200人の青少年がヘロインなどの麻薬で死んだという記録が新聞に出ていた。喧嘩やモノとりなどで、ピストル刺殺のニュースも、ほぼ連日というアメリカの現状。それらの主な原因が、ホワイト対ブラック問題。政府も、なんとかしなくては、と方策をいろいろ出しているようだけれど、解決はみえない。

この巨大な国アメリカが、豊かさでは世界一とはいえ、社会に、貧しさを抱えた国であることを実感している。羽田から9時間で、西海岸に、さらに5時間もかけて大陸を横断して東海岸(ニューヨーク)に、という、広大なこのアメリカ。日本が小さな島国であることも実感していると共に、安全、安心、経済もそこそこ、いい国なのかも知れない、と。

                         (日本の雑誌に投稿した原稿です)


0 件のコメント:

コメントを投稿