2019年1月27日日曜日

新年1月、映画3本

The Last Suit 「家へ帰ろう」
ポーランドワルシャワのユダヤ人社交界の賑やかなパーティーで始まる映画で、東欧のユダヤ人たちの言葉イデッシュ語、なつかしい響き、イスラエル留学時を想い出した。主人公の父は、テーラー(仕立屋)主人。ヒットラーによるホロコーストでユダヤ人たちが殺害されていた時代だ。父、母、妹たちが殺され、強制収容所から脱走し、重症ので主人公を助けたのが、父の店で職人として働いていたポーランド人の息子だった。
多くのユダヤ人たちが、ヨーロッパから脱出したように、主人公はアルゼンチンへ。ここで仕立屋をはじめて、6人の娘たちを育てた主人公は、今や86歳になり、昔の怪我で不自由な足、これ以上の仕事は無理と、娘たちが老人ホームへの入居を進める。
忠告に従わず、トランクひとつで家出。往く先は、ワルシャワ。まずは、空路パリへ。パリからは、列車でワルシャワへ。駅窓口で切符を買う主人公。「わたしは、ドイツの地を踏まずにワルシャワへ行きたい」、窓口係は、「ドイツの駅で乗り換えないとワルシャワへは行けない」と。行列に並んでいた女性ードイツ人、人類学者、が「乗り換えの駅までご一緒します」、と同行。乗り換え駅のホームで、トランクから出した着替え、タオルなどで、ワルシャワ行き列車の乗降口までの通路を作り、その上を歩いて、無事乗り換えることが出来た。「これでいいのだ」。
だが、次の災難は、列車内のレストラン(食堂車)で、軍服姿のドイツ兵と、若い女性たちとの宴会の場面に遭遇。あの時代の、あの光景、あの惨事を思い出し卒倒。目が覚めたらワルシャワの病院のベッド。「先生によると、病状はあまりよくないよう」、と聞かされる。「死ぬ前にどうしても、会わねばならない友がいる。連れて行ってくれ」、と看護婦に懇願する。
車椅子を押した看護婦、主人公の思い出の地区を、あっち、こっちと探し歩く。60年以上もたったワルシャワの街、なかなかみつからない。ようやく探した昔、父のテーラがあったその同じ場所、窓の向こうに人影。目と目が合い、しばらくの沈黙。お互いが確認、
飛び出してきた男、まさに主人公が探していた60年前の恩人だった。
 「あの時の約束だったSUITだ、私が君のために作った最後のSUITだ」。
   (アメリカ、ヨーロッパ、イスラエルなど、世界中各地で受賞された作品)

TRANSIT「未来を煮り替えた男」
ヒットラー最後の頃、ドイツナチ軍が攻め込んでくる直前のパリ。多くのユダヤ人たちは船でヨーロッパ脱出のためマルセイユへ。パリに残って最後まで抵抗する人から預かった手紙が、出国手続き所での行き違いから、手紙の宛先の主人公に成りすましてしまうはめに。ユダヤ人の男と女が、生き残りをかけて相手を想い、結果、最後の船に乗船した女は
その船が沈没、死を覚悟してマルセイユに残った男は、ヒットラーの自殺で戦闘終了で、助かった。TRANSITで運命が変わったユダヤ人,男と女の話。

Victoria & Abdulu「ヴィクトリア女王 最期の秘密」
大英帝国が世界制覇の主人公だった時代。帝国の元首だったヴィクトリア女王とインド人
侍従の話(実話とのこと)。在位50年という女王陛下が、植民地インドからきたAbudulu
が気に入り従者に。「インドは、どんな所か」と女王。「あなたは、大英帝国の女王陛下です。知らないのですか、インドのことを」とアブドウル。ヒンズー教徒という彼に「どんな宗教か」、タージマハルとは、人々の暮らしとは、などなど、次々に質問。アブドウルを寵愛する女王に、宮廷内はもとより、首相始め政界までが、大騒ぎ。アブドウルが妻帯者であるというと、妻に会いたい、といい、宮廷内に招き入れる。大英帝国の元首として、公務多忙、周囲は、みなイエスマンばかり。孤独な女王陛下にとってアブドゥルは、
最大の友人だった。在位50年のヴィクトリア女王時代の大英帝国、別の視点が見えた内容だった。主人公の女王役の女優さん、実年84歳とか。格好いい女王だった。イギリス英語も、インド英語もわかりやすい。訳文もなかなかだった。

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