この路線、実は3回目の挑戦。過去2回は、時刻表を無視しての旅での失敗だった。
内房線の五井駅で乗り換えて、小湊線。乗り換え通路の弁当売りのおばさん、顔を覚えていてくれた。
「また来たね、あと20分で出るよ、今日も赤飯かい?」
前回、断念しての帰り弁当に買ったのが、赤飯弁当だった。
「今回は、一番安い稲荷弁当、下さい」、310円也。鰹節が混ぜてある稲り寿司で、米の量が多い、でかいおむすび状態だ。 「飲み物は?」、うちから持ってきた。
9時30分発。小湊線列車は、上総中野までの39.1k、17駅。ほぼ無人駅だ。
デイーぜル気動車、五井駅から乗車したのは、二両編成で、乗客11名。乗り鉄らしき男性2名。他は、途中駅で下車。車掌さんがいた。地域の主婦らしき車掌さんは、途中下車のお客さんたちと、親しげに会話。日本国首相の言う「国民総働き革命」って、こういうことなのか、とふと思った。
列車は、房総半島の内陸地域、田んぼ、畑、時々竹藪の景色の中を、ゆっくり走行。このスピードがなんともいえない。新幹線のぞみ、あれは最悪た。車窓の景色をみていると
眩暈(めまい)がする。小湊鉄道からは、田んぼのあぜ道のたんぽぽの花まで見える。
駅員なし、乗降者ゼロ、それでも律儀に、各駅に停車する。駅舎は、なんと木造が多く遺産として遺しているのか、資金不足で、建て替えられないのか。駅舎周辺は、草ぼうぼう状態。チャリ置き場のある駅は少ない。ホームの駅名板も、ペンキがはがれた板版が多い。単線なので、対向列車とのすれ違い待ちも、ちょこちょこ。これが、なかなかよろしい。対向列車も、乗客は、数名。トンネルなし、踏切が多い。でも、踏切の開け待ち車は、ほとんどない。線路は、「続くよ、どこまでも」、まっすぐだ。
駅名も、面白い。駅名の上に「上総」がついている。上総牛久、上総鶴舞、上総久保、
上総大久保、上総中野、ってな具合。海から遠い内陸なのに「海土有木」(あまありき)
などという駅も。
まだ途中のはずなのに、上総牛久駅が終点。この列車は、五井駅間を走るだけだった。
有人駅で、元駅長らしき威厳を感じる方が、改札におられた。
「この先へは、あと2時間待ちです、すみませんね」、とすまなそうに言った。
駅前には、人家3軒。そのうちの店らしき家を覗いてみた。唯一のその店には、近くの高校生のための文房具、化粧品、履物を売っている。駅の反対側は、大きな墓地だった。
小湊鉄道は、ここから養老渓谷駅へ。12時35分着。養老渓谷へは、走り旅で行ったことがあるのに、あまり思い出せない。
ここ上総中野駅から終点の大原駅までは、26.8k、駅の数は12。車輛が、2両。
久我原駅(無人)なのに、どさどさっと客が乗り込んできた。胸に名札つきの団体さんは、埼玉の川口からのツアー客。名称が「ミステリーツアー」というバス旅行客だった。
ほとんど中高年、案内ガイドさんも、リタイア後、再就職のおっさんだった。オンナが多い。大声で喋る、だからうるさい。車窓の菜の花を見ながら、「すごいね、きれいだね」
と叫ぶ。川口だって、郊外へ行けば、菜の花、いくらでもあるのに。左車窓から大滝城が見えると、列車は、徐行してくれる。ガイドおじさんが、大声で、説明をしてくれる。
こうして、いずみ鉄道は、終点大原駅に到着。改札は、みやげもの店の中を、つっきると、JR大原駅構内に出る。団体さんたちは、みやげ店で足止め。駅前には、大型観光バス
「ミステリーツアー」が待っていた。大原駅から、海が見えた。ここは、房総半島だ。
(3月14日、快晴、日帰り旅)
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