6月2日、岩波ホール。地下鉄から地上に出た瞬間、そっか、今日は日曜日だったと気いづいた。毎日が日曜日なので、つい忘れていた。10時10分に開演、9時20分に着いたが、なんと50人ほどの列。月1回くらいはきているけれど、この行列には驚いた。
満席状態で開演。ニューヨークの公共図書館と、その支店というか、分室が舞台。特定の俳優はいない。人口6000マンのニューヨーク、この図書館の活動がはんぱじゃない。
88あるという分室では、図書館としては考えられない活動が展開されている。就職説明会、消防士、警官が自分たちの仕事の説明をする。曰く「この仕事は、父の代からで、ニューヨーク市民のために働けることは、誇りであり、幸せ」なんて説明する。医療センターで働く女性も登場。命にかかわれる仕事、大切な仕事なんです、と真面目な顔で話す。子どもたちの課外活動のヘルパーをしているという高齢女性は、子どもたちといるのがたのしい、可愛い子ぱっかりよ、と。移民したばかりの中国人たちに、パソコンを指導する
学生ボランティア、高齢者たちのレクリエーション活動でダンスを教えている女性など、それぞれの活動をどう運営するかのコミュニテイ会議もそのまま出てくる。
図書館の本来の活動、書籍の貸し出し、問い合わせなどに応える司書たち、図書館がいかに膨大な資料を備えているかもわかる。流行作家の流行り本が、2週間、3週間待ちと
のクレームには、「図書館は、今、流行っている本ではなく、10年、50年、100年後、その価値が出てくる本を所有するところ」、とおしゃる。頻繁に行われている講演活動では、黒人問題、公民権、アメリカのいう民主主義とは、ベトナム戦争とは、中東でのアメリカのパーフォーマンス、正しかったか、などなど、ワシントン(アメリカ議会)では、話題にもならないテーマばかりだ。
こうした活動を支える資金は、ニューヨーク市から50%、のこりは、市民の寄付で賄われており、資金集めの活動も重要。裏方の会議の様子も出てくる。
3時間、長時間の映画だったが、見応えのある内容だった。図書館って、本を出し入れしていればいい、という日本の図書館事情を考え直すきっかけとなった。見応えある映画だった。シルバー割引で1500円。